散華/yuko
 
わたしほんとうは聞きたくなんてなかった 
銃声のかげで不完全なひとが泣きながら笑っている 
べとべとになったわたしの首をそのよごれた手で絞めて 
そのまま海に沈めてください、夜は 
解体されつづけている、花が咲きそしてこぼれみっつよっついつつむっつ、とお、 
わたしの呼吸がとまる 
そのときまで眠りにつかないでいて 
水面がぼこぼこと沸きあがり、弾ける泡が悲鳴のようだ、あなたの両足はしだいに感覚を失い、もう境目がわからない、その腹は大きくふくれ、空間を時間を圧迫する、欠けた夜はもう夜ではなく、そしてまた花がよっついつつむっつななつやっつ、とお、 
息ぐるしさをかかえ 
ながら強く祈り続けていたのは 
妊娠線がはりめぐらされたからだを、解体された夜が解放する、こぼれつづける花に、ゆっくりと水面が閉じていく、その中心でわたしたちは、つぎつぎにほしを孕む、むっつななつやっつここのつ、花を手向け、とお。
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