臨床詩作法 / ****'04/小野 一縷
 
mg C 20mg A 25mg 投与

速い
甘く 熱く 遠く 重く 軽く 温く
脳が締め付けられる

記憶という 揮発する溶液の 薄い陽炎そのものになって 
氷霧舞う半球の中真に 点滅する夕陽に 照らされ 
星々を見守る月のように 鋭く
星座を抱き締める闇のように 強く 焼き付けられる 

血が 重油の色合いで 甘苦い透明な夢の中の 
澄んだ泉に 雲煙のように 文字になって 沸き上がる

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 以上、詩の終りをもって、この実験を終了する。
 
 ・実験に用いられた物質T、C、N、Aは上記、詩に
  記載された容量、mg数を投与す
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