眼のない魚/いてゆう
 
道路の
ボタンを外して
話す角度で
回転させながら 引っ張れば
すでに白い車ごと海の上を進む
いや 河口が見えないけど川なのかも・・・
疲れた液体
過去の大小の球を 浮かべたような
蛇口を捻って 足の裏を集めたような水面
表からも裏からも 穴の開いている気がする
時に うるさい色彩 狂った光線
笑いの足りない波が 重なり続ける
終わりのない 単純な動作
三白眼のような
目線の上の水平線の豪華船に
確かに 誰かが手を振っている影が見えたと思ったが・・・

(誰もいない)
引き返す
冷凍庫の背中から
平気のフライパンで掬う
骨の折れた空は 脂ぎった太陽の通り道
[次のページ]
戻る   Point(2)