現象学的還元/Giton
 
を人を
ひとつひとつ描き込んで行く
きみのまわりの世界を
きみのなかの世界を
細大もらさず描いて行く
さいごにきみはぼくを描き
さいごにきみはきみを描く
    .
世界のすべてをきみが描いたとき
ぼくは部屋の灯りを消そう
ぼくがスイッチを切ると
世界は消滅し
きみは消滅し
ぼくは消滅し
ことばが消滅する
    .
きみの描いた世界が残り
きみの描いたきみが残り
きみの描いたぼくが残る
    .
灯りが消えると
きみの描いたきみとぼくがある
ぼくの夢見たぼくときみがある
匂いと肌とがある
きみがある
    .
…世界がある
    .

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