蝉時雨/
やぶさめ
渇望しているのだ
体の中の空っぽを満たしたくて
満たされたくて、空白をうめたくて
それで鳴いているのだ
慟哭しているのだ
そして私はそんな鳴き声に閉じこめられているのだ
耳を塞いでいるのだ
目をぎゅっとつぶっているのだ
しゃがみこんでいるのだ
ああ、そうか
哭いているのは、私なのに
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