蝉時雨/やぶさめ
 


渇望しているのだ


体の中の空っぽを満たしたくて

満たされたくて、空白をうめたくて


それで鳴いているのだ

慟哭しているのだ



そして私はそんな鳴き声に閉じこめられているのだ

耳を塞いでいるのだ

目をぎゅっとつぶっているのだ

しゃがみこんでいるのだ


ああ、そうか

哭いているのは、私なのに



戻る   Point(1)