G/yuko
 
降り積もる雪の重みに 
夜が 
耐えきれず落ちていく 
そうして彼女らは埋もれていくのだ 
ひるがえった真夏の 
影を踏んだあなたと 
鳴くこともなく 
死んでいった虫たち 
絶えず 
流れていくものに 
足首まで浸して 
スカートをたくしあげて叫んでいた 
首筋を 
太陽が焼く 
かつて 
わたしたちは自由だった しかし
その陰で
すべてはすでに失われ続けていた
、失われたのだ
柔らかい肌の少女が
刺を踏みながら歩いていく
その跡を
血が流れない
わたしたちは
見て見ぬふりをする
こころの弱いわたしたちはあなたを知らない
知ろうともしない
そして
雪のなか傘を点す
夜の底を
掃き
清める彼女らの
いのちの影が
揺れて
ろうそくは消え
ただ
うだるような暑さが
ひとびとを圧し
広大なビル郡は
光を
反射し続けている
地中を
水が流れ
小さな
小さなわたしたちは
しめやかに
根を張り
その上に雪が積もる
戻る 編 削 Point(6)