炎のひと /服部 剛
今日はいつになく忙しい日で
不器用な自分にもくたびれ果て
痩せた野良犬の姿になって
帰りの夜道をふらついていたが
「おはよう」と「おやすみ」の
メールを毎日のように交わす
君の笑顔は暖炉のようで
夜の淵で膝を落とし
くべる火に頬を照らされながら、僕は呟く。
(もう一度、明日へと燃える炎のひとになろう・・・)
今、バスは冬の終わりの
雨が滲むアスファルトを
まっすぐ僕の家の方角へ走っている
今晩もきっとメールボックスに届いている
君の笑った顔文字に
吸い込まれるように、バスは走る。
冷たい雨の夜道に、水飛沫(みずしぶき)を上げながら。
戻る 編 削 Point(1)