無伴奏/しべ
 
成田へあれも
弧を描き
うつむき加減に
落ちてって

果肉むさぼる

木々や
倉庫や

薄暗い濁りが
街路まで

漂っては灯火を運ぶ

星を食う


彼は
季節外れの
枯れかけの
ガラス戸を

ざっくり 深く
くるくるまわし
赤い踝を
小豆みたいに
土間に咲かした

影を垂らして踏んだのが
彼なら

風鈴が終われ
牛舎も少しだけ静かになった頃
指の隙間に小雨をまぶし
不器用にコントラストを弄り
空が冷たくなったら

また食うのかい
そう言ったのも彼

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