PhD/瀬崎 虎彦
 
日時計から
斜めに垂れ下がっている
離断された晦渋な記憶が
記録される

不確かなものを断罪する
根拠を欠く
文明の華が
堅実さで価値を放棄した

いまでもヨーロッパの古い大学では
その言葉が文学部の正面に
彫り刻まれているはずだが

一時期誰しもが大騒ぎした酸性雨が
それを溶かしてしまって今
誰しも真剣に取り合わない
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