Moon River /服部 剛
青い便箋に綴られた
君の手紙を読んでいたら
背後に置かれたラジオから
Moon River が、流れた。
君のお父さんに書いた手紙と
僕のつくった詩集に
想いを震わせた君が
ペンを手に取り、封筒に忍ばせた
返事を僕はいつも、鞄に入れて
日常の旅の最中(さなか)
時折腰を下ろした場所で
ひと息ついては
暖かい紅茶を啜りながら
君の丸い文字を、味わっている
( たとえ今は離れていても
いつだって僕は・・・ )
ほら、明かりを消したこの部屋の
開いた窓の隙間から
Moon River の淡いひかりに照らされて
机に広げた君の青い便箋が
折り目を支点に
夜風にゆらり、傾いた。
戻る 編 削 Point(3)