結婚披露パーティーで読んだ手紙 /服部 剛
 
 今夜は、僕が特に親しみを感じる詩の友が集う忘れ得ぬ日なので、僕が最も大切な女(ひと)と出逢った縁(えにし)の糸を遡(さかのぼ)ってゆくことで、人と人の・・僕と彼女の出逢いの不思議を、思いたい。 

 ’98年・2月、僕は初めてBen'sCafeの黒い小さな舞台の上に立った。今よりももっと拙い自らの言葉に、詩を読む僕と聞いている人との間に、距離を感じた。それでも僕は、詩という存在を棄てることはできなかった。あの頃から、今夜の幸せに至るまでの十数年の道程(みちのり)を、いつも姿の無い 詩 という友は、寂しがり屋の僕の傍らを、歩いていた。暗夜の道を歩きながら、胸の穴に吹き
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