コメディ / ****'04/小野 一縷
 
は北上する 
全ての大陸は 大きな風の揺らぎの波紋 
風の余韻で 繋がっている


酩酊するオイネウスの体を 苦い蓬の麻薬が 
彼の陶酔を地の底までも重くする
従えていた酔いというニンフ達は溢れ 
皆で 主の身体と心を 思い思いの欲情の溶液に浸した刷毛で 
青々と無言のまま 一斉に 艶やかに 塗り始める


翼に 麻黄の鱗粉をもつイカルスが
太陽は燃え尽きる間近だと
有害な粉を噴く羽音を奏でながら歌う 
その音色は 刺青の要領で 鼓膜を鮮やかに刺し彩る


剃刀のように冷えた切れ味で
遠く射してくる陽光の粒子 エオスの若い目覚めは 
景色の輪郭を 粉々に砕い
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