コメディ / ****'04/小野 一縷
信仰という確信的な迷妄
その心地好い陶酔 自我に奥深く祝福される切ない悦び
エウテルペが宿した 重く病んだ遠い夢
闇を蓄えた天空から 銀色の稲妻走る脳裏に
白金の灰が降る それは 文字の微粒子
軽やかに拡散し 分厚く降り積もる 言葉は白紙上に氷結する
林の闇から闇へ駆け抜ける 光の獣が靡かせる
眩しい針の鬣 千の針が一斉に 緊迫から解き放たれる時
ペン先が疾走する その乱雑な素早さ 電撃の吹雪
ノトスが 胸一杯の地熱を込めた輝かしい息吹を
凍てつく氷土を 柔かく 血の暖かさで
波穂のさざめきのように 対流し
大気を巻き込みながら 熱風は北
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)