星/Giton
 
しいなどと頼んだりはしないだろう…
ぼくがそう言うと、きみは錆びかけた小さな箱から懐かしい鋏を取り出して青い紙を切り三角やら四角やらさまざまな形を切り出してはそっと飛ばしたきみの息がぼくにかかる沢山の青い形濃い色明るい色さまざまな切れ端一枚また一枚きみの手から零れるように舞い上がりぼくに吹き寄せる。やがて黒い帷が下りて来てぼくらを浸した…
あの静かな夜きみが小学校の鋏で作ってくれたさまざまな青い形それが正義とどんな関係にあるのかぼくは知らない。ただひとつたしかに分かることはぼくが正義を見る時にはきっとそれはきみにも見えているということ。いつか目を開きさえすればそこにはきみがいてぼくがいてその時間はずっとつづいてゆくということなのだ。
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