「この世界」(はっとりんおめでとうリミックス)/たちばなまこと
 
秋を洗う
ダイヤモンドの花
プラチナの雨
慈愛





このオレンジの果てを
思う
果てに止まない開花があるとして
それが 想像が及ばないほどに 美しいとして
その手前
太陽は
となりの国への去り際に
その身のかけらを零してゆく
空の深さにその濃淡
かすれた雲を染め
新しい肌を撫でる 風を呼ぶ
からだの中すらも 撫でられるような ここち
この世界はきれい
細胞のたくさんの針穴に
風の糸が通されてゆく

休日に解放される屋上駐車場
人々は連休に浸っている
大切なひとと一緒に
大切なひとに会いに

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