庭/Akari Chika
美しい 庭
自分を見つめ直すための 庭
幾千枚の 緑の葉
針刺す布
手から 落ちて
ただ そこにある庭を 眺めている
季節は めまぐるしく動き
今 また
再生の春が鳴く
私は 古い椅子に寄り掛かり
編まれていく朝を
仰ぎみる
いくつ 歳をとり
傷ついていったとしても
この庭だけは
美しいまま
荒れていても
凪いでいても
命を含み続ける
海に似て
私は 額に手を当てて
諦めたはずの 涙をこぼす
許されていく
そう感じている
地球の奥深くに 潜ったような 暖かさ
手探りで
触れる 土から
誰の言葉より
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)