終りの惑星/Akari Chika
 
うかと
どちらも口にしなかったが
鉄色の波が打ち寄せて
くじらの光沢に腹の底をなぞらえた


喋らなければならないなんて
誰も言わないけど
沈黙が怖い
太陽の半分は崩れ
果汁を搾られたオレンジみたいだ

狼は
星の粉(こ)の砂漠を
駆ける
キャラバンの隣を
訳もなく延々と走り続けている

膠着した
きもち
時計のない営みの中で本をめくる音だけが時のようだった

与えられた
なんて有り得るのか
命は
与えられた
ものなのか
思案する間にも
茶葉は熱に触れて
全力でその身を開こうとしている

浸し
浸し
水仙を黄昏の水に浸して
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