秋の雨が/まどろむ海月
 



硝子をつたう小径に
痛みは流されて
遠い海に向かう


曇天の淡い輝きの下
たゆたう調べに 今日も
あなたを浮かべてみる




想像でしかなかった白い肉体は
あんなにも切なく私を誘ったのに
匂いの記憶さえない現在に
細やかな雨が降りしきる


それでよかったのかと問えば
それしかなかったという
嘆きが返ってくるばかり




繰り返される悲しみから
細く儚い指は伸び

触れられなかった唇を
償うかのように

閉じた目の
こころを

ふるわせる











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