硝子をつたう小径に 痛みは流されて 遠い海に向かう 曇天の淡い輝きの下 たゆたう調べに 今日も あなたを浮かべてみる 想像でしかなかった白い肉体は あんなにも切なく私を誘ったのに 匂いの記憶さえない現在に 細やかな雨が降りしきる それでよかったのかと問えば それしかなかったという 嘆きが返ってくるばかり 繰り返される悲しみから 細く儚い指は伸び 触れられなかった唇を 償うかのように 閉じた目の こころを ふるわせる