星の航海術(スター・ナヴィゲーション)/楽恵
えている顔つきで今もこちらを睨みつけながら流星を降らせて戦いを挑むけれどこちらも負けじと雄叫び睨みかえすこの背には巨魚の黥身その渦巻く生眼を見よ
鯨ゆく大洋の果て最果てに未知なる島々島とかぐらの霊力を降ろす巫女たちの予祝は目印となる岬から首を伸ばして踊り歓(あま)えて今か今かと待ち受けている誉れ抑えきれない嵐の高鳴りを越えるのは外洋航海用のシングル・アウトリガー・カヌーは荒波による転覆を防ぐことができる構造の独木舟やがてたどり着くまであるときは黒潮も頼りなく漂流し彷徨い迷う星はけれど目視の航路を必ず取り戻す貝 はひたすら汗を滴らせて泡を追いかけるDNA
生まれ裸足となり歩き出し飽きもせず海を眺めているトビウオこちらを待っているもののために一万十百年の血脈を連れ族の針路は北北西に向かい恐れもなく大洋の断崖を渡る旅浅く日焼けした私も会いにいくのだ南方より
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