夜の鱗粉/七波
 
液晶のくらやみがこわくて 誰か手をひいて 光よりもはやく


ナプキンでまぶたをぬぐう きらきらひかる夜の鱗粉 まぼろしさ


褪せた色がやさしいカーテンをしめる ふたりぼっちの夜がはじまる


わたしの未練だけがひとりでにエスカレーターを駆け上がっていく夜


まぶたにマスカラがついてしまったら「今日はでかけるな」という事だ


ほんとうのわたしは宇宙の風に吹かれひとり立っているのです


なくした恋を夜の果てまでさがしにいく不毛な夢をみました


明るくなってゆく部屋にかなしい予感を残してあなたは眠る


恋人がいなくなってもかなしくならないからリア充でいいよね?


ほんとうのわたしの声を最後まであなたはしらないままだったね

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