月と不死/楽恵
望月
謡うもの。
遥か彼方より天が下まで。降れて。
方位は陽の沈んだ場所より東であり
影から岬の先端まで。
いつか必ず絶えるからこその
願い。
月を枕にし給いて
気の踊り。
ついに
夜の始まり。
霊薬
唱えるもの。
ふたたびよみがえる為に。
水のうえを風が吹いている。
魂代を家土産にして
地中に戻り
神の妻になるがいい。
残されて
空から降ってくるのを待つ。
月夜見
思うもの。
昔、天地の初めに喪失あり。
また、死より
逃れて変若水を飲む蛇が這う。
君の霊力ある限り。
失ったまま
西方に佇み
昇ってくる場所を覗き込む。
*『おもろそうし』より引用・参照箇所あり
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