パレットと楽譜と指揮棒と/番田 
 
そうになった。だからベートベンの曲でも何かを思ったのであるー。誰が聴いたとしても、漠然とした印象をそこから受けるにちがいないと耳を傾けながら私は予想した。第二合奏にすぐに移った。印象をかき消すほどの穏やかな場面がまた展開しはじめた。そんな時間を、ぼんやりと私は過ごしながら、部屋の中に帰ってきた。レコードを駆使してその感覚を手に入れるのである。きっと音楽は色々な構成される芸術のひとつだろう。違う匂いのハーブや仏壇用、瞑想用、宇宙をイメージさせるものやリラクゼーション用のものなど様々な種類がある。ぼんやりと差してきている日の部屋の中で今日もぼんやりとCDを再生している私は音楽を聴いている。赤や緑色のパッケージによって空間をイメージしたかのような絵を見ていると、私も死ぬまでに一度はこういう仕事にタッチしてみたいものだと思った。
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