パレットと楽譜と指揮棒と/番田 
 
今夜眠れるとしたなら、すでに朝方になっているような気がした。しかしその思いつきは何故か心の中の気持ちを落ち着かせた。私は自分についての世界を思い浮かべる。まだ訪れていないものは、ひらめきのようなものなのだろうか。しかし私にはまた憂鬱な時間が、心の中にまた訪れようとしている。夜眠れるかどうかなどということはわからない。子供の頃、周りで声の走り回っていた時間には、公園の色々な拡散する色が目の前で音階のようなモザイク状なって、見ているそこらじゅうに散らばっていたものだった。私は失われたような街で、色彩の形を見つめさせられながら、疲れさせられていた。私はそこに通過する空気のような物体をのばした手に、そこに
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