原風景11/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
もどうやら早足だったらしい。それにつられるように気づくと、顔に湿り気も感じた。ポケットからタオルハンカチを出して汗を、軽くたたくようにぬぐう。
終わると、どうせなら缶コーヒーでも買ってくるかすればよかったかな、と思いつつ息を落ち着かせ、たばこを深く、深呼吸でもするみたいに吸い、少しだけ息を止めるとゆっくりと吐き出す。出した煙はすっかり薄まっていて、すぐ空気と一体化した。
火を消していくらかぼうっとすると、重くなりそうな腰をあげ、館内に入った。
一階は児童室と視聴覚室がメインになっているので用はない。二番目の自動ドアをを抜けたすぐ横にある階段で二階へ向かった。
踊り場を抜けて上がると
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