「檻の中の同性愛」/桐ヶ谷忍
 
友達の前では一切出さない「私」を彼女にだけは打ち明ける。
今思えば、彼女は多分そんな私の外面と内面の落差に恋をしていた
のではないかと思う。
自分だけが知る「私」に恋をしていたのではないかと。
二人きりになると突然冷ややかに他人を見下した評価をする私を、彼女は
「そう思っているだろうなーと思った」無邪気に看破し、その私を嫌う
どころか益々好いてくる。

そして私もまた、彼女を、気づけば好きになっていた。
ありのままを肯定してくれる存在に初めて出会ったのだ。
同性であるとかは全く気にも留めなかった。
そして、こんな想いは、思春期特有の少女にありがちなものであり、高
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