「檻の中の同性愛」/桐ヶ谷忍
と結婚した。
彼女はまだ未婚。
彼女は、本当にもてるのだが。
そうして付き合う人間が変わるたびに、その人物の詳細を報告し、
時には3人で会い、そして必ず「あの人の事、どう思った?」と聞いてくる。
私は決まって「ちょっとどうかな…と思った」と返す。
別に妬いているわけではない。
ただ彼女が選ぶ異性はいわゆる遊び人タイプなのだ。
予想通り彼女は短期間で別れ、また別の、同じタイプの人間を私に引き合わせる。
「長続きしないんじゃないかな…」
私が男だったら、と考えた事などない。
私は女である事に満足している。
けれど、私のような男性が彼女の前に現れれば良いのに、と思う。
きっと彼女を幸せにする。
大事に、大切に、彼女を愛するのに。
妬いているわけでは、ないのだけれど。
恋愛感情など、とうに消滅している。
だけど、ただの友達とも思えない。
この感情を何と名付ければよいのか分からない。
あの当時とニュアンスは少し変わったかもしれない。
けれど、彼女の事は今でも「好き」なのだ。
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