旅の始まり /服部 剛
 
りの雨の中を、突き進む 
婆ちゃんの底力を、この腹に。 

永らく失われた「 はるかな国 」へと続く 
目の前の 
明日のドアを、私は開く。 

背負ったリュックに星の数ほど詰めこんだ 
火星人からの手紙を 
ドアの向こうの道で待つ 
かけがえのない人々に、届ける日を夢見て

他の誰でもない、この足で 
目の前のドアへ 
旅の初めの第一歩を今、踏み入れる。 





 ※「明日の友」(婦人之友社)初夏186号掲載 



 
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