名探偵A/番田 
 
る。文字のようなものは、なんとなくじっと見ていると文字ではあるが、単語、というところまでは読み取れなかった。


私は少しタバコを吹かしてその余韻に微笑むと、コーヒーを入れに、なんとなくキッチンに向かった。タバコは、マイルドセブンが今まで吸った中で、私は一番気に入っている。タールの量もちょうどいいし、倉庫に貯蔵しているキリマンジャロコーヒーの豆との相性も抜群である。


私はコーヒーを飲みながらそこでぼんやりすると、タバコの煙の中に、なんとなくじわっと犯人の面影がぼんやりと思い浮かんできた。煙の形は、昔父が作っていたような、円いドーナツ型をしていたり、それが曖昧になって少し壊れていたり
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