断片/佐々井
イイ子犬に駆け寄って、墓標を立てるまでは付き合った。
断片的に浮かび上がる、君は背を向けて、僕も背を向けて、太陽が真ん前にあって、
夕焼けは、僕らをも焼いた。
これは断末魔だ!!!
と叫ぶ君を必死で追いかけていた。
けれどいつかは見失うんだ。
断末魔だ!!!と叫ぶ君。
追いかけるのをやめた僕。
断末魔だ!!!と叫ぶ君。
テレビのチャンネル捻る僕。
断末魔だ!!!と叫ぶ君。
金魚の次郎をいじくる僕。
断末魔じゃないかもしれません!!!断末魔じゃないかもしれないかもしれません!!!
僕らは、誰も傷つけないままでした。
だから、いつまでも気づかないままでした。
夕焼
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