虹の橋 /服部 剛
 
君は、手にしたハンマーで 
今迄何度も、壊して来た 
目の前に架かる幸福への橋を 

そこへ詩人がやって来て 
橋の消えた、川の濁流を 
ぶざまな犬掻きで渡り  

向こう岸で、ハンマーを地面に置いて 
ずっと密かに誰かを待って 
独りっきりで立っている君のもとへ 
手にした縄を握り締めては 
幾度も、投げた 

やがて川の向こうで 
そっと抱きあうふたりが振り返ると 
濁流は澄んだせせらぎになり 
背後には 
長い虹の橋が、架かっていた 







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