虹の橋 /
服部 剛
君は、手にしたハンマーで
今迄何度も、壊して来た
目の前に架かる幸福への橋を
そこへ詩人がやって来て
橋の消えた、川の濁流を
ぶざまな犬掻きで渡り
向こう岸で、ハンマーを地面に置いて
ずっと密かに誰かを待って
独りっきりで立っている君のもとへ
手にした縄を握り締めては
幾度も、投げた
やがて川の向こうで
そっと抱きあうふたりが振り返ると
濁流は澄んだせせらぎになり
背後には
長い虹の橋が、架かっていた
戻る
編
削
Point
(5)