人々の日/山中 烏流
ひとは
寂しいふりと、狂ったふりが上手です
全員ではないけれど
大半は、そんな気がします
彼女は論文を書きます
自分が、自分に出した課題で
原稿用紙を何枚も埋めることが出来ます
例えば
秋刀魚の綺麗な食べ方に関する認識の相違
例えば
団地に囲まれた公園での、何とやら
例えば
明日と翌日と次の日の違い
お前は嘘つきだな、と言われます
その通りです
肯定も嘘になることを見越して話すのは
何よりも疲れます
昔のことは、いつも美しく思えてしまうので
一回
全て忘れることにします
そうすると
今度は忘れる、という行
[次のページ]
戻る 編 削 Point(9)