痩せた夏/Akari Chika
あの星 揺れて また 涙を 落とした
七夕が 過ぎて 願い事は もう
燃えて どこかへ流れてしまった
重ね重ね うつらうつら
まぶたの裏で 小さな笹舟が
漕ぎ出しては 回る 何度も何度も
その様が 時のうろこを 剥がし
私をあの夏へ 連れ戻す
まだ一度も乾くことのない痩せた夏へ
失くしては 繰り返し 産まれる 星の点滅
指先では 捉えることの出来ない
遊び心のない宵が
朝を待たずに終わろうとしている
そうして 私は また 夜と朝の間から
ぽっかりと抜け落ちた空間の中で 夢を視るのだ
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