彼岸入りに/
within
穏やかな夏の青い空に
幼い頃聞かされた赤く染められた天地が
嘘のように
頭を刈った少年たちの
淡い掛け声が響いた
誰もが歩む死への行進
だけど殺し合いは御免だ
「兄弟仲よに分けないかんで」
と叱った母
九月の虫の音に
奪い合いに巻き込まれた者たちは
鎮まっているだろうか
緋色に染まる日暮れの墓前
束の間の生に
訪れるであろう静かな時に
掌を合わし悼む蝶々が一匹
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