てらてら笑う/豊島ケイトウ
(てらてら笑うニンゲンはたいがい……)
ずっとむかし叔父のいった
そのつづきを思い出そうとする
(てらてら笑うニンゲンは)
(たいがい……)
(たいがい……)
(たいがい……)
てらてら、だなんて
まるでジョロヤのがらり戸から流れる
紫がかった温風のようじゃないか
すると となりのおんなが指をさす
二、三日前に汀を歩いていた、
左手にカザグルマを持っていた、婀娜だった
そのおんなが私を指さして、
身重のようにぷっくりふくらんだまぶたを
朱鷺色まで昂揚させて、
半分ゆるんだおとがいに
笑い
をにじませて、
――あな
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