てらてら笑う/豊島ケイトウ
 
(てらてら笑うニンゲンはたいがい……)

ずっとむかし叔父のいった
そのつづきを思い出そうとする

(てらてら笑うニンゲンは)

 (たいがい……)

  (たいがい……)

   (たいがい……)

てらてら、だなんて
まるでジョロヤのがらり戸から流れる
紫がかった温風のようじゃないか

すると となりのおんなが指をさす
二、三日前に汀を歩いていた、
左手にカザグルマを持っていた、婀娜だった

そのおんなが私を指さして、
身重のようにぷっくりふくらんだまぶたを
朱鷺色まで昂揚させて、
半分ゆるんだおとがいに
笑い
をにじませて、

――あな
[次のページ]
戻る   Point(10)