パレット/Akari Chika
 

あなたは あなたの色を認める為に生まれてきたのよ

灯台は
闇に紛れてしまうけど
光だけ
海の奥まで照らしている

絵筆を持った少女が
人々に向けて言う

「その仮面一つ顔から外せないくせに
 そのカバン一つ置いてこられないくせに
 自分以外を愛そうとしてるの?」

虫眼鏡や
顕微鏡で
人の心を覗こうとしていた
答えが見えれば
「嫌い」って
思われることもないものね

「もどかしい」
絵筆を持った少女が笑う

ぶちまけてしまえ
あなたのカラー コンプレックスを
ひっくり返せ
すべてを塗り替えて
あなたらしい色を見せてよ

街の色も
人の顔も
気の済むまで
塗り替えてしまえ

あなたが 誰かの色を認めて生きていきたいのなら
まずは
あなた自身で
あなたの色を認めてあげて

一人に一つ
パレットを配り終えて
「仕事はおしまい」
そう思っていた少女は
絵筆を置いて笑う

ねえ だから
優しい黒や
意地悪な白が
あったって良いのよ

〔それがあなたのパレットならね〕






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