日向のころ/豊島ケイトウ
あなたはとても照れくさそうに笑うそれを見るとわたしは無性にいとおしい気持にあふれる
(わたしたちの愛に余裕はないのだから)
偶然だねとかいっしょだねとか聞くとどうもその手には弱いみたいあなたのようにはなりたくないわ、と尊敬を込めて告げてみる
あなたはもういなくて影だけが淋しそうに落ちているわたしはその場に泣き崩れたくなる
(わたしたちの愛は、だから今すぐにでも抱かれたいほど傷んでいる)
あなたにはいつまでも白く生きてほしかった
わたしが呼べばどこにいようが駆けつけてくれるだろうわたしが泣けばずっとそばで髪を撫でていてくれるだろうでもそんなことはできないだってわたしの存在
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