密林からの/月乃助
っていた
しばらくすると
はてしなく続いていた暗い森を抜けた
木の間には、葉を葺いた壁のない家があって
村と呼ぶには小さすぎるそこに、人の営みがあった
アダルト・サイトで見るのとは違った 裸の
男の人たちがいてこちらの様子をうかがっていた
疲れきっていたあたしは、何か食べるものをと頼むと
みな集まって話していたが、しばらくすると
サルの手がでてきた
少しのあいだ
茹で上がったそれが、食べ物であることに気づかずに
他のものたちがもう一方の手を食べ始めてやっと
その意味が分かった気がした
この世には、サルを食するものたちもいるのだ
皮が硬そうだけれど、
それにかぶりつけばよい
いつものように決意はゆらぎ 途方にくれてしまう
食べれば血にも肉にもなるはず なのに
あなたは、鯨を食べたことがあるのでしょ?
イルカは?
ラッコはどう?
うちにやってきた女が、そう聞いていたのを
思い出した
それっていったいどんな味なの?
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