友ー躓きー/……とある蛙
て行き
君の背中は見えなくなり、
僕は懸命に追いかけて行ったが
ますます君の背は小さくなり、
そのうち坂の下に君は見えなくなった。
僕は一生懸命坂を降りて行ったのだが、
君は別の道を歩き始めたようで、
坂下の交差点で神社の方に右折しても
君の姿は全く見えなかった。
季節は変わり
空には下弦の月が浮かんでいる。
僕は降りてきた坂道をとぼとぼ戻って行く。
街路樹は黒々と葉が繁っていて
足元は暗くなっていた。
すぐ
また、僕は躓いてしまった。
両手をついて立ち上がろうとした時
下弦の月の中で誰かがにやっと笑った。
そして、聞こえてきたのだ。あの声が
あきらめの悪い奴だ って
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