野鳥/天野茂典
潅木の茂みから飛び立つ鳥たち
夜明けはちかいか
失速している改悛の闇から
流れ出る泉の清らかさ
海岸線ははるかかなたの松林のむこう
潮騒も聞こえない
耳のランプに照らし出されたレンブラントの
光源が裁量できない
いくつもずれて流れる光
もう高みへと登る意思ははてた
軽さと空気抵抗のアンビバレンツ
翼をはばたいてそれでも鳥は
垂直飛行をこころみる
たかが60Kmのスピードだ
バイクでもすぐ追いついてしまう
だが彼らは飛んでいる薄明の空を
定点飛行でもないのに自由の意思で
花の上を飛んで
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