ピノキオ/月乃助
なふりをして言う
糸を切った操り人形の選んだ道は、
遠くからする/うちからする、声に耳を傾け
自分の足元を確かめるように歩くこと
小さな自分への約束が
今度もうそになってしまわないように
はりせんぼんを手にしながら
そのとげを見つめたり
伝えたいことなど
掌にこんなにもたくさんあるのに、
差し出そうとすると 消えてしまうのをながめたり
樫の木でできたこの体は、
心があったらよいのにね
そうすれば、いつかきっと
人にだってなれるのですから
今はただ、
冷たい雨にうたれながら
少しのあいだ
人になれた時を 夢見ても
よいですか
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