ピノキオ/月乃助
 
なふりをして言う

糸を切った操り人形の選んだ道は、
遠くからする/うちからする、声に耳を傾け
自分の足元を確かめるように歩くこと

小さな自分への約束が
今度もうそになってしまわないように
はりせんぼんを手にしながら 
そのとげを見つめたり

伝えたいことなど
掌にこんなにもたくさんあるのに、
差し出そうとすると 消えてしまうのをながめたり

樫の木でできたこの体は、
心があったらよいのにね
そうすれば、いつかきっと
人にだってなれるのですから

今はただ、
冷たい雨にうたれながら
少しのあいだ
人になれた時を 夢見ても
よいですか








戻る   Point(12)