分解するのが男の子、解剖するのが女の子/手乗川文鳥
{引用=
雨ざらしの、皮膚の、角質層に浸透しない乳液と、老廃物で崩れ
た二重と、汗ばんだ呼吸で、余計に湿度を寄せて、抜け落ちた獣
の毛が、二人の表面に貼り付いてとうとう一対の獣になって、本
当に獰猛に、唇を合わせながら途絶えた。
グロテスクな蝶は大きすぎた、写真に残すために、つっかけで追
いかけていった妹は、妹のまま戻ってこなかった、いってくる研
磨っとって、文字化けする約束、通信し続ける指が、節から折れ
て粉になった。
むごい夢を見て、人に伝えた、その人にむごい夢がうつった、接
触を恐れて、むごい夢は隔離されて、その人は静かに怒りながら
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