ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
 
の喧騒。室内に何人もの人々が集っていることを隠しようがない。居留守は使えない。だが俺はこの家の主。一家の大黒柱。俺以外が、来客を迎え入れることはないだろう。だが、インターフォンを押しても反応なし。あるわけがない。俺は出る気がないのだ。いや、出るかもしれない、だけどまだ決心がついていない。配達人は苛立ち何度もインターフォンを押しながら、「ごめんください!」と怒鳴り続けるだろう。お届けものにはラベルが貼ってあって、HBえんぴつ1万本と書かれてあるだろう。配達人は重いダンボールか何かしらないが、その1万本のHBえんぴつが入った箱を抱えてしかたなくトラックに戻る。そしてもう一度、受け取り時間を確認する、「
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