チューズディ・サンダー/捨て彦
 
の上に月谷が満月を背に立っていた。気まぐれ屋のマンディ・ムーンだ。奴の能力は月曜日に発揮される。一体どのような能力かというと、月曜の夜のあらゆる時間に時を操ることができる。奴はその能力を使って月曜の深夜11時59分に時を早めてくれたのだ。
それからのおれはまさに鬼そのものだった。いや魔神と言っても過言ではないかもしれなかった。しかしその後、何がどうなったのか、実際はおれはその間の記憶がスッポリと抜けていた。月谷の証言によると、奴は体をブルブル震わせながら「あの夜のことは思い出したくない」といって逃げるように世界放浪の旅に出ていった。後日新聞を見てみるとその工場半径500メートルが跡形もなく消えていたらしい。おれはこのとき自分の才能を酷く恐れた。


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