夜に歩けば/
あまね
右足はからまってからめとられて
動かせなくなってしまった
泣き始めた荷物を
仕方なくほどいたけれど
思い出たちは今日に散乱して
泣きやまなくて
今日はすっかり昨日になってしまった
悲しかったこと
さびしかったこと
痛かったこと
苦しかったこと
本当は思い出したくなかったこと
置いていってくれよう、
もう置いていってくれようと
泣く
昨日の声が
まっくらの空にこだまして
ぼくは途方にくれる
戻る
編
削
Point
(9)