光の差すところ/
惟壽
頭のてっぺんから落ちていく。
なぜこのような状況になったのか
自分の身に降りかかる災難を
深く知る余地もないが
下へ向かって、
何かにぶつかることもなく
ただひたすら沈んでいく。
底があるのかどうか、
未だそれはわからないけれど
あるにきまっている。
そう、懸命に己に言い聞かせる。
どのくらい深くまで来ただろう。
頭をあげて上を見ようとした時、
赤い光がかすかに差し
太陽が沈む音を聞いたような気がした。
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