MARIA/なき
 
青い青いドレスに映るいびつな星座の空を吸い込む
光滴る蜘蛛の糸で飾られた体で見下ろして
冷たい夜気が残る朝だけが凡てのいまを許してくれる



落とした絵の具の赤が染み込んで私を満たし水面は細かな細かな音を奏でる
窓硝子を叩き割り抱き合う傷付いた手のひらをあなたから隠して
愛を語る深い眼差しに後ずさる



アリアをなぞる温かな人差し指に噛み付く
宙に浮かび上がる今を繋ぎとめたい銀の靴は土の匂いを恋求め
砕けた大理石を砕いて砕いて布地に幾度も弱さをつける



暗い部屋に置かれた石膏像の痛みを永遠に重ね透かす
やさしさを追いかけた粘土の時間はほろほろ崩れて呻き声をあげ
薄い布地が通す風をどこまでもどこまでも見つめている



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