ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
朽化してるんじゃないだろうか?)
青、赤、黄色、緑、オレンジ等のケバい原色に彩色されたボックスが山の上の動物園で回っていた。僕しかボックスの中には入っていない。平日の昼前の動物園。その一角に占められた子供用の遊園地なのだ。
(こうして一人、観覧車の中に座っていると僕は自分の人生について考えなくなる。部屋にいても、町を歩いていても、いかなるときも僕の頭から離れることのない苦しい想念から開放されるんだ。悩みを消すために僕はこうして、たまに観覧車に乗る。僕は高所恐怖症の臆病者だ。だから観覧車に乗ると恐怖心しか感じなくなる。特に一番てっぺんまで上がってから下り始めるときが怖い。錆びた鉄を見つめている
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