ジュリエットには甘いもの 前編/(罧原堤)
 
、私はこの私が生き、悩み、光を発するみなもとである私と同等なものを見出し、そこに苦悩する私と同調するなにごとかを探し、憩いたいのだ。私ばかりが美しく、私ばかりが絶対的命令を下せる預言者であっては、生きていることに何の張り合いもなかった。虚しい思いだった。幾年も、私はこのジレンマと戦い続けるしかなかった。だけれども私にいつか、私の美に感化されてゆくものが眼にとまった。それは太陽だった。太陽は私の美を白日のもとに照らさんと燦々と、燃えるがごとく、私の頭上高くにあった。私は安堵した。私の存在も無駄ではなかったのだと。
 そして、私にはまた…… 探求しつづけても、得られぬ至福の歓喜への羨望の飢えから逃れ
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