都会の夜/1486 106
高速バイクが通り過ぎるのを
耳で少しだけ追い掛けてみた
遮光カーテンが夜風に揺れて
無音の寂しさが少しだけ和らいだ
誰かが階段を上がる足音
鍵を回してドアを開ける音
昼間は誰にも会わないアパートにも
ちゃんと人が住んでることを思い出す
都会の夜は嘘みたいに明るくて
だけど星は一つも見えなくて
作り物の光に目が眩んで
空を見上げることを忘れてしまう
近所のコンビニは何時でも誰かいて
買い物もせず雑誌を読んでる
店員も客もみんな無表情で
マネキンが会話しているみたいだ
都会の夜は嘘みたいに賑やかで
賑やかなのは寂しい証拠だね
作り物の笑顔に感覚が麻痺して
本当の自分を忘れてしまう
眠れない夜は時計と会話
いつの間にか眠たくなって
ほんの少しだけ期待して
いつもと同じ朝が来る
満員電車に駅前の広告塔
自動車の往来はひっきりなしに
人が溢れてるのに誰も話さない
機械だけが騒がしい都会の朝だ
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