純白恋夢 ‐?‐/愛心
女の涙を拭ってあげられるのに。
もしも僕がこんな体でなければ。
彼女に声をかけてあげられるのに。
もしも僕がこんな体でなければ。
姫君を連れて、二人で外の世界へ翔んで行けるのに。
嗚呼、嗚呼、嗚呼、なんて無力なんだろう。
せめてもの慰めに、彼女の涙を口に含めば、しょっぱい熱が喉を滑り落ちた。
苦くて、不味くて。咥内が、喉が、腹が、焼けるように痛む。
これが、彼女の傷(いた)みか。
少しでもいい。僕に分けて欲しい。
主としてではなく、姫君を、貴女を。
愛してるから。
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